【映画鑑賞感想】宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟(2014/12/6公開)

 ヤマトが地球へ帰還する途上に遭遇したガトランティスとの戦いを描く話で、補完的エピソードだが「宇宙戦艦ヤマト2199」シリーズの締めでもある。このガトランティスは、映画「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」やその後のテレビシリーズ「宇宙戦艦ヤマト2」に出てきた「白色彗星帝国」のこと。旧作に出てきたサーベラーがデザインを改めて出てきているが、今回ヤマトと交戦するのは別のキャラクターなので、別に旧作を知らなくても問題はないし、外伝みたいなものなので、「宇宙戦艦ヤマト2199」自体を見ていなくても楽しめる作品ではある。
 ヤマトとガミラス艦隊が共同で強敵・ガトランティス艦隊と戦うという構図には燃えるものがあるけれど、イスカンダルでコスモクリーナーを搭載したヤマトは波動砲を撃つことができないにも関わらず勝てちゃうので、敵があまりにもバカに設定されている気がするんだよなあ。旧シリーズの白色彗星帝国には人材難という設定があるので、それが生きているんだとしたらおかしくはないが、それであのガミラスに押し込まれずに生き残れるものなのか、とも思う。
 MBSのアニメシャワーで「宇宙戦艦ヤマト」の再放送をやっていた時期があるので見たことがあるとはいえ、あくまでヤマト世代ではない自分にとって「宇宙戦艦ヤマト2199」は見事に現代にヤマトを蘇らせたなぁと思える作品だったんだけれど、10月に公開された「追憶の航海」と今回の「星巡る方舟」にはどうも蛇足感が否めない。パンフレットに載ってる出渕監督インタビューでも、本当は総集編をやるつもりはなかったのに「諸般の事情」で作ることになったって書いてあったりするし、作品とは離れた部分で、本来は終わるはずの2199シリーズを続ける方向になってグダグダにならなければいいんだけれど、と心配させられる。
 ヤマトシリーズの動員力はやっぱり強力で、大阪ステーションシティシネマのスクリーン1が7割ぐらいは埋まっていたはずなので、売る側からすれば続けたくなる作品だろうなあ。

アイキャッチは予告編より、異空間に迷い込んだヤマト
© 西﨑義展/2014 宇宙戦艦ヤマト2199 製作委員会
© 2012 宇宙戦艦ヤマト2199 製作委員会