「ろんぐらいだぁす！」第3話放送延期、原因は「玉突き」状態なのではないか妄想

by chisato

2016年10月22日、テレビアニメ「ろんぐらいだぁす！」の第3話が放送・配信延期となったことが公式サイトで発表された[→TVアニメ「ろんぐらいだぁす！」第3話放送・配信について]。この発表と同週には、「ブレイブウィッチーズ」も第4話放送が制作スケジュールの遅れから1週間延期となっていた[→「第502統合戦闘航空団ブレイブウィッチーズ」放送日一部変更のお知らせ]。

この短い話数で放送が止まるという事態は、わずか3カ月前にも発生していた。それが、放送が4話まで行われたところで「本来意図していたクオリティと相違があることを強く認識」したことにより「現在の制作体制の中で解消をする事が難しく、いま一度、制作体制およびスケジュールを仕切りなおし、きちんとした形で視聴者の皆様に作品をお届けしたい」という事情[→『レガリア　The Three Sacred Stars』放送・配信に関するお詫び]で、いったん放送を打ち切った「レガリア The Three Sacred Stars」である。

この「レガリア」を制作していたのが、「ろんぐらいだぁす！」制作のアクタスだった。業界のことを詳しく知らなくても、そして、アニメーション制作現場の姿を「面白おかしく」ではあってもリアリティを盛り込みつつ描いた「SHIROBAKO」に学ばずとも、そこに因果関係があることはなんとなくわかる。「レガリア」で、第4話まで放送したところで一度放送を打ち切って第1話からやり直し、4話分のリテイクが発生したのであれば、その分のスケジュールが後ろに食い込むというのは道理だ。

前述の「SHIROBAKO」の公式サイトにはアニメ制作スケジュール表が掲載されている[→アニメ制作について]。「そこそこ順調なTVアニメ制作スケジュール」の方を見ると、
・OA26週前：コンテUP
・OA21週前～18週前：レイアウト
・OA17週前～14週前：原画
・OA13週前：動画
・OA12週前：仕上げ
・OA10週前：撮影
・OA8週前：編集
・OA7週前：アフレコ
・OA4週前：ダビング
・OA3週前：ビデオ編集
となっているが、極めて厳しい「えくそだすっ！」スケジュール参考の方だと、最短は
・OA10週前：コンテUP
・OA8週前：レイアウト
・OA7週前：原画
・OA6週前：編集
・OA5週前：アフレコ
・OA4週前：動画/仕上げ
・OA3週前：撮影
・OA1週前：ダビング/ビデオ編集
となっていて、素人目に見ても「それはできまい」というスケジュール繰りになっている。単一作品でも遅れれば大変なことになるのに、予定なら放送が終わっていたはずの「レガリア」がまだ放送中(ヘタするとまだ最終話は撮影前だ)なら、それだけしわ寄せが来ることになる。

しかし、ここで1つの作品に注目したい。それは2015年11月21日公開の「ガールズ＆パンツァー劇場版」である。この作品は2012年10月から12月にかけて放送されたテレビシリーズの劇場版。そのテレビシリーズも制作の遅れから総集編が2話挿入され、残り2話の放送は2013年3月にずれ込んだが、今回はさておく。その後、OVA「ガールズ＆パンツァー これが本当のアンツィオ戦です！」等の制作を挟んでいるので、ここでの遅れは吸収済みだと考えられるからである。

もとい、「ガールズ＆パンツァー劇場版」である。2013年4月28日にディファ有明で開催されたイベント「ハートフル・タンク・カーニバル」の中で、対アンツィオ戦OVAとともに制作が発表されたが、この発表時点は「2014年公開予定」だった。

2014年7月25日に対アンツィオ戦OVAが劇場イベント上映され、そこで劇場版特報が公開されるが、公開時期は「鋭意制作中!!」

2014年11月20日に大洗町で開催された「あんこう祭」にて、「2015年夏 公開予定」と、実質の公開延期発表[→「あんこう祭」での告知内容まとめ ガールズ＆パンツァー公式ブログ/ウェブリブログ]。

翌2015年3月17日に大洗町で開催された「大洗海楽フェスタ」で、ようやく2015年11月21日公開であることが発表された[→劇場版公開日など、「大洗 海楽フェスタ」 告知情報まとめ！ ガールズ＆パンツァー公式ブログ/ウェブリブログ]。

「2014年予定」から「2015年11月21日公開」の遅れは、2014年を年末とみても11カ月近い。しかし、「レガリア」第1話オンエア(最速のAT-Xで2016年7月7日22時)まではまだ7カ月あるので、まだ余裕はあるように見える。ところが、「ガールズ＆パンツァー劇場版」をちょっと知っている人には周知の事実だが、劇場版は上映中にもわずかに修正が加えられ、さらにBDでは大幅に修正が施されている。BDが発売されたのは2016年5月27日、「レガリア」第1話オンエアの6週前。発売前にはマスタリングもあるし直前まで作業をしていたわけではなかろうが、想定外のスケジュール割り込みが発生したというのは十分に考えられる。ここでの遅れが「レガリア」の遅れを生み、玉突きで「ろんぐらいだぁす！」まで転んだと考えるのは、妄想しすぎであろうか……。

ちなみに、「レガリア」の遅れを見た時点で「ろんぐらいだぁす！」の破綻を予見していた人がいた。決して制作側の人ではなく「ガジェット好き大学生」だそうで、それぐらいに読めていた展開。

この方によれば、アクタスの「戦績」は以下のようになかなか華々しい。


このツイートに出てくる「男の娘OVA」というのは「迷elleオトコノ娘」のこと。2010年4月24日創刊の男の娘専門誌「わぁい！」から生まれたオリジナルアニメーション企画で、創刊号(Vol.1)で企画が発表され、2010年7月14日に公式サイトがプレオープン、2010年7月24日のVol.2発売にPOPによる読切漫画が掲載されて同日公式サイトが正式オープンした。

サイトのプレオープン時点で主なスタッフとキャストは発表されていて、2010年10月にPVが公開され、11月にPVとアニメ導入部を収録したDVD＋スペシャル同人誌をセットにした「銀河学園入学案内書」が発売された。

川口敬一郎監督のもと、キャストは「花澤香菜、井口裕香、藤村歩、藤田咲、伊瀬茉莉也、牧口真幸、榊原ゆい他」と豪華なキャスティングが行われていて、2011年1月に主題歌情報発表。2011年4月にV編があり、2011年8月の「コミックマーケット80」では東ネ26aに「SHAKE-UP」(川口監督が自らメンバーを集めて作ったサークル)で出展し、キャラクターデザイン・総作画監督の貞方希久子の原画をまとめた「迷elleオトコノ娘作監修正集」を頒布。新PVも公開されたようだが、作品としての目に見えた動きはここで終了。公式Twitterはコミケ終了を告げる2011年8月14日のツイートがラスト[→「迷elleオトコノ娘」公式Twitter]、
公式サイトで唯一更新が続いていた(とおぼしき)キャラクターブログ「銀河学園新聞 出張版『鳴子つくしのギャラクシーリポート』」も2011年10月1日9時34分の更新を最後に活動を終えた[→どこもかしこも]。公式サイトはそのまま2014年4月までは存在していたが、4月19日～4月25日の1週間の間にドメインが失効、2014年5月下旬にSEO対策サイトになってしまっている[→公式サイトだった最末期のWebArchive]。